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映画評 隠された記憶 2006/07/16 6:43 am
「本年度カンヌ映画祭、監督賞他3部門受賞作品 奇才ミヒャエル・ハネケが仕掛ける全世界が驚愕した深層心理サスペンス」がキャッチコピーだ。しかし、深層心理とついているだけあって、いわゆるハリウッド風のサスペンスには程遠いし、「衝撃のラストカット」と言われるラストも、ますます混乱するだけで、ああなるほどというわけにはいかない。
そもそも、私はこの映画がサスペンスだとは思えない。確かに、送られてくるビデオを一体誰が撮影したのだろうということがストーリーの軸となっている。しかし、私にはあのビデオが人の目線、つまり怨みを持った人間が隠しカメラで撮ったようには思えない。まず冒頭のシーンだ。主人公の家を向かいの路地から撮っているビデオなのだが、カメラ位置は、人の背丈や車よりも高く、路上に浮いているような位置にしか思えない。どこかの部屋から撮っている感じもない。唯一2本目のビデオは手持ちでアパートの狭い廊下を揺れながら動いていくので、人の臭いを感じることができる。3本目は、さらに不可解だ。2本目のビデオでそのアパートを知った主人公が、そこを訪ねて、犯人だと思い込んでいるそこの住人と相対する場面が、その部屋の中から撮られている。常識的に考えれば、そこの住人しかカメラをセットできないような位置なのに、映画は彼は犯人ではないと強く臭わせながら進んでいく。
結局、私には、ビデオの視線が映画の中のカメラ視線と同じに感じられる。つまり、ビデオの奥にそれを執拗に送りつけてくる人の臭いが感じられない。映画の展開上も、主人公がどこから撮られているのか調べるようなカットは全くない。ネット上では、主人公の息子とアパートの住人の息子との共犯説もあるようだが、仮にそうだとしても、そんなことを追求しても意味がない。映画はゲームとは違う。
ミヒャエル・ハネケ監督、私はほとんど知らないのだが、果たして、この映画は監督の中で整理されてつくられているものなのだろうか? もちろん、完全に整理され、強く主張してくる映画が優れているわけではない。未整理のまま放り出されていても、素晴らしい映画はある。しかし、この「隠された記憶」の場合、未整理のまま放り出されていることを良しとするには、あまりにも意図的につくられすぎている。
結局、この映画、深読みすることはいくらでも可能だが、そんなことをしても意味があるとは思えない。私にはこの映画の良さが見つけられない。
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映画評 不撓不屈 2006/07/11 1:21 pm
会計事務所に勤務している友人から「貰って?!」と言われたので貰ってみてきたという映画です。多少のネタばれあるのでこれからの人は読まないでね。
友人の解説によると映画の事件がきっかけで会計事務所で使うソフトを開発した税理士の実話だそうで・・・。
これまた友人の解説ですが税務署の恐さや陰湿さは今でも(映画は1963年から1970年の設定)
変わらないそうです。確かに脚色もあるのでしょうが権力の恐さを感じます。
あれだけの窮地に立たされて無罪を勝ち取った主人公を支えた人たちのドラマがもう少しかかれていたらなぁ、とは思いますが滝田栄はなかなかハマリ役だと思いました。
なかなか素晴らしすぎる主人公の為、違和感なく見せることは困難だと思うんです・・・。
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映画評 DVD/愛をつづる詩 2006/07/07 2:06 pm
しかし、以外にも、内容は単純な大人の不倫映画だ。結末も、なんだかあっけないハッピーエンド(というのか?)で、拍子抜け。哲学的で、宗教的な台詞が生きていないように感じる。監督のインタビューによると、9.11の『その一週間後には、世界が向かっている方向とは逆の方向、つまり憎悪から愛の方向に向かって何かできないか、と思って私は物語を書き始めたの。』ということらしい。言葉が観念的に走っている理由もよく分かる。また、この大人の不倫物語(愛の物語)を女の家のハウスキーパーの語りで包んでいるのだが、これもあまり効果的に思えない。独白の如くカメラ目線で語る言葉がややうるさい。
途中、地下の駐車場で男と女が言い争う場面があるのだが、言い争いってこういうもんだよな、などと訳あって妙に納得。
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映画評 DVD/女は男の未来だ 2006/06/23 5:05 pm
監督のホン・サンスはヨーロッパではかなり人気が高いという。何となく分かる。北野武の人気が高いのと、もちろん傾向は違うが、近いところがあるような気がする。
映像的には、何かギミックなものを使うことは全くしないようだ。その意味で意図的なんだろうから仕方がないが、回想への入りが分かりにくい。
しかし、この男と女の関係って、昔から良く使われてきた、ある一方の図式的な男女間ではないのか? 馬鹿な男に包容力のある女、これもある意味ジェンダー的要素の強い関係かもしれない。
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ひとこと お金とセンス/福井君の場合 2006/06/21 10:10 am
福井総裁の村上F拠出、運用で2倍以上 残高2231万円に
人の金にどうこう言っても始まらないが、こうはっきり見せ付けられると、「おお、これが勝ち組ってやつか!」と思ってしまう。それも多分ちょいと預けておいただけの忘れていたような金だろうしね。
なんでも「元本を含む運用残高全額を慈善団体などに寄付」するらしいけど、これもなんだかセンスないな。カッコ悪いよな…。
人の金にどうこう言っても始まらないが、こうはっきり見せ付けられると、「おお、これが勝ち組ってやつか!」と思ってしまう。それも多分ちょいと預けておいただけの忘れていたような金だろうしね。
なんでも「元本を含む運用残高全額を慈善団体などに寄付」するらしいけど、これもなんだかセンスないな。カッコ悪いよな…。
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映画評 雪に願うこと 2006/06/15 6:07 pm
ストーリーだって、映像だって、視点だって、どれも特に目新しいところもないと思うんだけどなあ…。競馬のシーンも迫力ないしなあ…。騎手やっている吹石一恵なんか、腰引けてるしなあ…。逆光で馬の吐く息とか体から立ち上る湯気とかを撮ってるんだけど、迫ってくるものないしなあ…。スクリーンが小さかったからかなあ…?
まあまあいいと思ったのは佐藤浩一くらいかな。しかし、これだけ日本映画に感動できないとなると自分がおかしいのかも…。
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映画評 DVD/四月の雪 2006/06/08 11:29 am
と思っていた。が、これは意外といけた。ペ・ヨンジュのための映画かと思っていたが、そうではなく、実にていねいに心の微妙なひだを描いている映画だ。一言で言ってしまえば、大人の映画だ。せりふは極端に少なく、様々な思いに揺れ動く二人をじっととらえようとしている。ストーリーもほとんど展開しない。しかし、飽きない。これは、どう考えてもホ・ジノ監督の力だ。
起きてしまったこと(映画の発端となる不倫、事故)は、ありえないような話だが、映画の中で描かれることは極めて日常的な瞬間瞬間の連続だ。カメラはそれらをじっと見つめるだけだが、多分ゆったりとした間合いがとてもいいのだろう、見ていると様々な思いが喚起する。字幕なので何とも言えないが、せりふにもかなり気を使っているように思う。「8月のクリスマス」の監督の3作目? 少ない感じがするが、日本で公開された作品が3本ということだろうか。
私は、ペ・ヨンジュって意外といいんじゃないの、と思ったのだが、どうもヨンさまファンには不評らしい。なぜなんだろう?
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映画評 嫌われ松子の一生 2006/05/31 5:46 am
決してあの極彩色の映像やギャグっぽい展開がダメなわけではない。ミュージカルも好きだし、エンタテイメントな作品も好きだ。じゃ、何が嫌かって?
多分、あの保守的な感覚かな…? 劇画チックな映像やテンポのある(ように見えるけれど実は違うと思うが…)展開に気をとられてしまうが、でも結局、言っていることは、家族への回帰だし、古き良き時代への郷愁だし、父権主義だし、そのどれもが極めて日本的な、映画にだって幾度となく描かれてきた、今更な感覚であり視点だと思う。
日記に、いつも父は松子のことを気にかけていたなどと書いてあったりする、このわざとらしさが私には絶えられない。
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映画評 ダ・ヴィンチ・コード 2006/05/29 5:16 pm
それに、ドキドキするところもなくてミステリーとしてもそんなには楽しめなかったし。上・中・下もある原作を2時間半に納めるには無理があったんじゃないかと思ってしまいました。
トム・ハンクスも髪型も役どころもなんとなく似合ってなかったし。彼はもっとほんわかした役のほうがいいような気がします。オドレイ・トトゥも同様。私の中で「アメリ」の印象が強いのとそっちの役のほうが絶対合ってたから、この冷静な役はいまいち。
息も絶え絶えになってるくせに服まで脱いでわざわざあんな格好で死ぬ館長も館長だし、バックで車を天才的に操る館長の孫も、警部に自分の信じる宗教の話をされて簡単に情報を漏らす警部補?も、ちょっと、ちょっとって感じだね。
そんなこんなで私としてはお金払ってまで観る映画には入れられません。 ちょっと宣伝しすぎ、力入れすぎ。
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映画評 君とボクの虹色の世界 2006/05/28 9:44 pm
しかし、結局行きました。行ってよかったです。
この映画のことを「未来的」と書いたが、それは、あることにおいてすべての登場人物が対等に描かれているからだ。この映画においては、男も女も子どもたちも、そしてそれぞれ社会的環境の違う誰もがあるひとつのことを欲している。あるひとつのこととは、誰かと関わりたいという人間の本来的欲求のことだが、それを登場人物全員に率直に吐露させることによって、極めて理想的で未来的な人間関係が表出する。
その意味において、この映画の視点はかなり新鮮と思える。人と関わりたいという感情の発露の仕方が時に突飛に見えたりするとしても、ミランダ・ ジュライ監督のまなざしの優しさがそれらを救っている。描かれるひとつひとつの出来事やエピソードは、あまり日常的とはいえないが、それでもそこにあるものは、我々の日常のある瞬間を切り取ってきているように感じられる。少女たちの描写や幼い子どものチャットシーンはやや刺激的だが、それでもいやな感情を抱かせることなくみせてくれる。
ミランダ・ ジュライ監督は実に才能豊かな人に思える。オチともいえる最後の言葉は、監督の人生観なのだろうか?
